JPEG vs RAWデータ

「RAWデータは情報量が多い」または「RAW現像の方が写真編集した際の調整幅が広い」などと、カメラ雑誌やWEBの記事などで見かける事があります。RAW現像を行っている人でも経験的にそれはわかっているつもりでもどの程度違うのか?はっきりしていない場合も多いのではないでしょうか?

そこで今回は初心に帰ってJPEGデータとRAWデータの色調整を行った際の違いを比較してみたいと思います。興味本位で半分遊びの要素も入っているのでお気楽にご覧ください。

 

色かぶりしたサンプル

すご~く真っ赤な写真です。ストロボに赤いカラーフィルターを付けて撮影したものです。カメラのホワイトバランス設定は「太陽光」で撮影しました。

通常こんな真っ赤な照明は舞台やライブハウスの演出照明位でしょうか?

それで、この真っ赤な写真の中にあるグレーチャート(Spyder Cheker)を「ホワイトバランス」の中にある「グレーバランスツール」で指定し、ホワイトバランスを取ります。

SILKYPIX DSP9はRAWデータもJPEGデータも編集できるので、RAWデータと同時記録のJPEGに対してそれぞれホワイトバランスを取ってみます。

 

JPEG vs RAW

JPEGをSILKYPIX DSP9でホワイトバランス調整

ある程度の色は再現できていますが、カラーバランスがかなりおかしな事になっています。

特に気になる点は・・・

1.赤の色がほとんど出ていない

2.カラーチャートの白が青くなっている。

これはJPEGデータなので

1.の場合、「光(ストロボ)の赤」と「色(肌色やチャート)の赤」が区別できていないため、ホワイトバランスの調整による赤の緩和で同時に色が抜ける。

2.の場合、ホワイトバランスで青く補正した際に厳密に白が特定できていない。

などが考えられます。

しかし、元々の色からの補正であることを考えると、予想以上に色が再現できていると感じました。


RAWデータをSILKYPIX DSP9でRAW現像

不自然さは残りますが、真っ赤な画像から比較的ニュートラルな色で再現できています。

被写体は環境光に含まれる光の色の成分を反射して色を再現しているので、特定の色に偏った照明の場合には例えRAWデータであっても色に濁りが生じてきます。(LED照明で赤が出にくいのと同じ理由です。)

カメラはOLYMPUS EPL-6で

・センサーがマイクロフォーサーズで1画素あたりの受光面積が小さい事。

・RAWデータの情報量が12bit RAWである事。

を考えるとお世辞にも良い条件のデータとは言えませんが、極端な例の割には良い結果だと思います。


JPEGとRAWデータでの補正幅の違い

このように、撮影条件が悪くなればなるほどJPEGを補正した場合とRAWデータを調整した場合では結果に違いが出てきます。

 

SILKYPIX DSP9 VS Capture one 11(JPEG編集)

同じようにJPEGデータを編集できるソフトウェアとして、たまたまCapture One 11がインストールされていたので同じようにホワイトバランスを取ってみました。

見てすぐわかる通り、Capture Oneでは補正できる範囲の限界を超えているようでほとんど色は再現できない結果となりました。

SILKYPIXのJPEG画像処理エンジンには「RAW Bridge(ロウ・ブリッジ)」と呼ばれる

・JPEGを擬似RAW(16bitに拡張/高色域色空間への変換/JPEGのトーンやガンマカーブを線形化)にする機能

があるのでその効果が大きいのではないかと思います。

 

電球の場合(実用的な範囲ではどうか?)

最初の例が超極端な色の照明だったので、比較的良くある電球の場合はどれ位の差が出るのかを試してみました。

同じようにJPEGとRAWを同じ場所でグレー指定し、ホワイトバランスを取っています。

電球位ですとJPEGでも結構色に関しては良く補正されていて一見RAWとあまり変わらないように見えますが少し照明の色味が残った感じになりますね。

それと細かく見ていくと、グラデーションの繋がりはRAWデータを調整した方がやはり良い感じです。JPEGは補正量が大きいほど画質が劣化してしまいます。