昨年からメダカを飼い始めました。写真講座の生徒さんのご自宅にお伺いした際にそこで飼われていたメダカをお土産に4匹いただき、持って帰って来たのがきっかけでした。魚を飼うのは初めてでしたので、最初は小さな金魚鉢のような容器に入れ、浮き草を浮かべて飼育していました。
そのメダカが卵を産んで、稚魚が少し育ってくると容器が小さく感じるようになり、少し大きめの水槽を用意しようと思ったのが水槽制作の始まりです。まだこの時はメダカにも水槽にもそんなに興味があった訳ではなく、どちらかと言うと「必要に迫られて」でした。
自宅の中でそんなに大きなスペースも無いので、買ったのは必要最低限と思われる「幅25cm×高さ25cm×奥行25cm」の小さな水槽です。
初めての水槽レイアウト
水槽を購入する前に色々調べていたところ、中に入れる水草や流木、石などがある事を知りました。これは魚を入れる前、水を入れたばかりの水槽です。
それまでの自分のアクアリウムの認識では
- 水槽の中で水中や川底を表現する
のが水槽レイアウトだと思っていましたが、最近は
- 水槽の中に森林や山岳風景など自然風景を再現する
「ネイチャーアクアリウム」と言う分野もあるという事を知り、これを機会に自分も作ってみたくなったと言う訳です。
ネイチャーアクアリウムは「写真的」
レイアウトを考えるに辺り、知識も無いものですから、ネットで色々なサイトを見ていくと「ネイチャーアクアリウム」で有名な方は天野尚氏で同時に日本写真家協会などにも所属している写真家さんであることを知りました。写真と共通点が多いのも理解できます。
具体的にどの辺りが「写真的」なのかと言うとまずは私の拙い水槽よりも、世界各国から集まった水槽レイアウトのコンテストをご覧ください。
色々なテーマで素晴らしい水草レイアウトが集まっていますが、共通して言えることは、
- 写真的な流れや動きを意識した構図
- レンズを通したような遠近感
です。大きいとは言え奥行き数十センチの水槽の中に広大な山岳や森林の風景が再現されています。
ものによってはズームレンズで切り取られた画角のようなものもありますし、高角レンズを使ったように遠近感が強調されたものもあります。
水槽レイアウトを組む際に、流木や石の大小を使い分けて、奥行の狭い水槽の中にこの「遠近感」を表現しています。
遠くに見えて欲しいものを小さなもので、手前に見えて欲しいものを大きなもので配置していきます。
恐らく、写真を撮っている皆様でしたらわかりますよね?
自分の水槽はと言うと、正方形の水槽を選んでしまったので「流れ」や「動き」を表現するのが難しいフォーマットだと後から気付きました。写真で言うとハッセルブラッドなどの「6×6」のスクウェアフォーマットで写真を撮るのと同じような感覚です。(でも置き場も無いので仕方が無いですね・・・)
自分の理想の景観を水槽の中に表現する
上でご紹介した通り、真四角の水槽なので動きのある石組みの山岳レイアウトは諦めて流木を使ったレイアウトで組む事にしました。レイアウトを組むにあたり自然の流木を参考にしました。
この2枚は同じ流木ですが、一枚目は
- 高角レンズを使って斜めから撮影し、奥行きを強調したもの
2枚目は
- 中望遠を使って横から撮影し、流木の形全体を意識したもの
になります。
もし、この2つの景観を水槽の中に表現したければ、水槽の正面から見た時に写真のように見えるように別々の形の流木を用意しなければならないという事です。
もちろん流木はアクアショップで買って来ます。(自然の流木はアクが出るため、アク抜きしないと水質に影響があります。)
その結果こんな感じなのですが難しいです・・・。反省点だらけで早くも作り変えたくなってきていますが、お魚さん達がかわいそうなのでしばらくはこのままにしておきたいと思います。
水を知るという事
レイアウト以外にもう一つ興味を持ったものが「水質」です。水変えをしながら何週間か経つと、水槽の中では食物連鎖による自然の濾過システムが出来上がります。このことをどうやら「水槽が立ち上がる」と呼ぶらしいのですが、水槽が立ち上がるまでには水が白く濁ったり、水面に油膜が張ったりします。
始めは油分を何も入れていないのに何故水槽に油膜がかかるのか謎でしたが、調べていくとその油膜の正体は「バクテリアの死骸」であることが判りました。
「バクテリア」とは水槽に住む細菌のことで、この細菌が魚の排泄物によるアンモニア成分を分解し水質を保ってくれたり、ミジンコなど微生物の餌になったりするようです。
なので、白濁や油膜が発生しなくなるとバクテリアが定着し、水質が安定した一つの目安になるようです。
生物が生きていくのにバクテリアはとても大切だという事を知りました。
バクテリアを撮影しました
用水路や沼地など水辺に行くと、たまに赤いドロドロしたヘドロと共にギラギラした油膜が発生しているのを見かけたりすることがあります。以前までは工場の排水など水質汚染が原因だと思って目を背けていましたが、水槽に発生する油膜と同じなのではと思い調べてみると、やはり「鉄バクテリアの排泄物や死骸など」で環境に悪いものでは無いようです。そう考えるとそんなに嫌なものではなく見えて来るのが不思議です。
しかもよく観察してみると、光の角度や撮影時の切り取り方によっては虹色に光っています。
公園にあるビオトープの風下に溜まった鉄バクテリアの残骸
普段は目に見えないバクテリアですが、これが天然由来のもので水質の浄化に役立っているものとわかると何故か美しく見えたりします。
以上メダカの飼育~水槽レイアウト~水質の保全を経てバクテリアを撮影しています。