周辺減光とは/シェーディング/ヴィネットは同じ意味です。
デジカメでレンズの絞り開放付近で写真を撮ると、画面の四隅が暗くなってしまうことがあります。これは「周辺減光」や「シェーディング」、「ヴィネット」などとも呼ばれていて、デジタルカメラの場合はレンズとイメージセンサーの特性によって発生するものです。
恐らくカメラを作っているメーカーからすると、これは無い方が性能が良い証なので良いと思うのではないかと思いますが、使う側からすると写真によってはあった方が良い場合があります。これはインスタグラムや写真変換アプリなどに「効果」としてあえて周辺減光させる機能があるのもそのためだと思います。「トンネル効果」なども呼ばれることもありますね。
この記事では
- 周辺減光の発生原因
- 周辺減光があった方が良い場合
- 周辺減光が無かった方が良い場合
などについてご紹介したいと思います。
周辺減光の発生原因
周辺減光とはその名の通りレンズの周辺が暗く写ってしまうことを言います。まず、この図をご覧ください。緑の部分が、「CMOS」や「CCD」などと呼ばれているデジタルカメラのイメージセンサーですが、レンズの周辺部分ではセンサーに対して光が斜めに当たることになります。
イメージセンサーの中央部
イメージセンサーの中央部を拡大して見た模式図になります。光はまっすぐに入射しているため、センサーの奥に配置されている受光部に対してそのまま届きます。受光部の手前に配線がありますがその影響が一番少ない状態です。
イメージセンサーの周辺部
イメージセンサー周辺部ではイメージセンサーに対して光が斜めに当たるため、配線に遮られてしまい奥にある受光部まで届く光の量が減ってしまいます。
この角度が強くなる程写真は暗くなるので、写真で見ると周辺になればなるほど暗くなってしまうという事になります。これが周辺減光(シェーディング)の原因です。
フイルム写真では、イメージセンサーの電子配線のような光を阻害するものが無かったのであまり気になりませんでしたが、デジタルになってからは目立つようになって来ました。
周辺減光があった方が良い場合(真ん中に集中する構図)
主題が真ん中付近にあり、配置の構成や視線の移動が周囲から真ん中に寄せてくるような構図の場合は周辺減光との相性が良いと思います。例えばこの写真は周辺減光なしですが、
これに写真編集ソフトやRAW現像であえて周辺減光をさせるとこんな雰囲気になります。少し周辺を暗くすることで画面の真ん中に目線が行くようになり立体感も出ます。ポートレートなどはこのような構図が多いのではないかと思います。
周辺減光が無い方が良い場合(画面の外に広がる構図)
画面を大きく使った風景写真などではフレーミングによっては、ダイナミック感やスケール感を出すため、画面の外側を連想させるような切り取り方をする場合もあります。この場合に周辺減光していると、画面の中で世界が閉じてしまっている感じになり広がりが出ません。
そこで、今度は逆に写真の編集ソフトやRAW現像ソフトで周辺減光を明るく補正します。そうすることで写真の明るさが均一になり、画面の四隅から外に広がる感じが強くなるのではないかと思います。
SILKYPIXで周辺減光を調整するには
SILKYPIXで周辺減光を補正/調整するには「レンズ収差補正」の中にある「シェーディング」タブで行います。周辺光量を明るくしたり、暗くしたりできるので、状況やシーンによって使い分けてください。
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