モノクロ写真も好きで、自分の作品ではよくモノクロで仕上げます。モノクロでは考え方自体がカラーと色々違うので機材も自分のイメージするモノクロ写真に近づけられるようなものを選択します。
私的モノクロ用の機材
個人的にモノクロ作品を作るときに特にこだわるのがカメラ本体よりもレンズ選びです。これらは昔Canon A-1で使用していた古いものですが、今ではEOSやαシリーズなどで使用しています。
この他にはContaxのレンズやJupiterなどロシア系を被写体に合わせて使い分けています。
マニュアルフォーカスですが最近はライブビューで拡大してフォーカスを合わせられるので撮影も楽になりました。
レンズが写真に影響する部分としては主に「解像度」と「コントラスト」です。「色合い」に関しては、たまに古くてレンズが黄変しているものもありますが、色全体に影響するもので、「青が濃い」とか「緑が鮮やか」など特定のカラーバランス自体を変えてしまうものでは無いと思います。ですので「色合い」に関してははデジカメだとホワイトバランスでかなり調整できます。
解像度に関しては最新のレンズと比べるとそんなに良くは無いのですが単焦点レンズならではの切れの良さはあります。解像度と言うよりは、単焦点はボケ具合が良いので切れの良い絵に見えるのではないかと感じています。この辺りは数値化できない魅力です。
そして本題の「コントラスト」なのですがやはり最新のレンズはレンズコーティングの進化や内面反射を抑えることによりコントラストは高めで、逆光でもきっちりとした絵を出してきます。古いレンズでは少しフレア気味だったり軟調なものが多いのではないかと感じていますが自分の場合、モノクロ写真ではこの軟調なレンズが好きで使っています。
軟調なレンズはハイライトも白とびしにくくシャドー部も粘ります。さすがにそのままでは締まりの無いゆるゆるな写真なのですがそこからトーンを作っていく作業が面白くて好きなのです。
撮影時の状態
モノクロ写真でもRAWで撮影してカラーからモノクロに変換して仕上げて行きます。
影の強いシーンで光自体のコントラストは高めです。しかし暗部も完全に潰れていないで少し残っています。逆に言うとハイライトの抜けが悪くシャドーもだらだらと締まりの悪いトーンなのですが、ある意味ネガフィルムのベタ焼きっぽい感じでこの絵の中からどこを強調するのか考えるのが楽しみの一つです。
モノクロコントローラ
SILKYPIXのモノクロコントローラのカラーフィルタから「黄色」フィルタを選択しました。この「カラーフィルタ」はカラー画像をモノクロに変換する際、写真全体をどのようなトーンにするのかを決めることができます。今回は蒸篭やお釜のハイライトのテクスチャー(質感)が強く出るようなフィルター色という事で黄色としています。
カラーフィルターの意味や使い方はSILKYPIXユーザーズガイドの89~90ページでご紹介していますのでご覧ください。
トーンカーブ
写真を見ながらトーンカーブでコントラストを設定してきます。この写真ではハイライトを強調することで明暗の差を付け暗部を引き立てて(暗部が引き締まったように)みました。
A.ハイライトのレベル補正
明るい部分の質感が弱くならない程度に気をつけながら、ハイライトの抜けが良くなるようにレベル補正します。
B.ハイライトのコントラスト
明るい部分のコントラストを高く設定しハイライトを強調します。明るい部分のコントラストが高くなることで、明暗の対比が生まれ暗い部分も締まって見えるようになります。
C.シャドーを保持
暗い部分はあまり明るさが変わらないようにトーンカーブの構成点を追加し保持します。
まとめ
モノクロフィルム写真ではもともと軟調なネガのベタ焼きを見ながらトーンを作っていました。それがモノクロ写真の楽しさの一つでもあったのですが、最近のレンズはコントラストがもとも高いため、撮る側がトーン作りをする余地が少なくなってきているように感じています。私がモノクロ写真で古いレンズを使うのにはフィルムに例えるならば「ネガのベタ焼きのようなトーンのRAWデータ」が欲しいからなのです。
撮影に関してもたまにはマニュアルフォーカスレンズでまったり撮影するのも良いものですのでぜひ試してみてくださいね。
RAW現像ソフト SILKYPIX Developer Studio Pro8 / 8 USER’S GUIDE ユーザーズガイド