夕暮れ時や日没後は光の色もきれいで、斜陽で物の形もはっきりと見えてきて撮影には楽しい時間帯です。しかし、難しさもあり、その一つが明暗差が大きくなってしまう場合が多くなってしまうことです。今回はSILKYPIXのHDR機能を使って仕上げた例と撮影時のポイントをご紹介します。
調整なし&撮影時露出のワンポイント
HDRを使う前の調整なしの状態です。空がイメージ通りの明るさになるように撮影時露出を決めています。そうすると手前の波消しブロックが暗くつぶれています。逆に言うと手前のブロックの部分に露出を合わせると空は明るくなりすぎて白く色が無くなってなってしまいます。実際の見た目ではここまで暗くは見えていなかったのですが、人間の視覚とカメラのダイナミックレンジの違いが出ますね。
このように明暗差の大きなシーンでは、「A」の明るい部分がイメージ通りになるように撮影時露出を合わせると良いでしょう。その場合「B」の暗い部分は潰れてしまいますが、ここをSILKYPIXの「HDR」で階調補正し明るくします。
HDR
HDRとは
- 写真の中の明るすぎる部分を暗く
- 暗すぎる部分を明るく
自動で補正してくれる機能です。HDRのスライダーを高く設定するだけで写真の中から暗すぎる部分を自動で認識し明るく補正してくれます。パラメーターの数字はHDRの強さを表していて数字が大きくなればなるほど効果が強くなります。この例では「20」に設定しています。調整のポイントとしては、このブロックは元々影の部分なのでその雰囲気を損なわないように軽めに使っています。
一枚のRAWデータからHDRを
ソフトウェアによっては、露出違いの複数のカットを自動で合成してHDRを作るものもあります。しかし、複数のカットを使うため、このような水の動きがあるものなどは合成が上手くいかず不自然な画像になるケースもあります。
RAWデータは開いた状態で白とびや黒つぶれをしている部分にも情報を持っています。SILKYPIXのHDRでは「一枚のRAWデータ」に含まれる「ハイライト(明部)」と「シャドー(暗部)」の情報を引き出しHDRを作る事ができます。そのため、動きのある被写体や手持ち撮影でも気軽に使うことができるのが特徴です。
強く使いすぎた例
HDRを「100」まで高くすると、もともと明るかった部分と暗かった部分の明るさが逆転してしまうまで強く効果がかかります。余程の作画意図が無い限り、風景写真などでは不自然に見えてしまうケースがあるのでHDRを高めに設定する時には注意が必要です。それともう一つ、影の雰囲気や立体感が弱くなったりしますのでそうならないようにするのが使い方のポイントです。
RAW現像ソフト SILKYPIX Developer Studio Pro8 / 8 USER’S GUIDE ユーザーズガイド